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No.43110の一覧
[0] ディス・パーダ ー因果応報の戒律ー[のんど](2024/11/07 15:03)
[1] あの日、みたもの[のんど](2025/01/09 13:31)
[2] 世界は未知領域[のんど](2025/01/09 13:31)
[3] 理に触れざる手[のんど](2025/01/09 13:31)
[4] 決断と日々[のんど](2025/01/09 13:32)
[5] 襲撃[のんど](2022/07/04 22:12)
[6] 残酷な灯り[のんど](2022/07/12 01:48)
[7] 偽りの追跡者[のんど](2022/07/12 18:21)
[8] 侵攻の兆し[のんど](2022/07/19 19:49)
[9] ヌレイ[のんど](2022/07/19 23:04)
[10] 部隊との会合[のんど](2022/07/25 20:58)
[11] 補給ルート[のんど](2022/07/26 22:04)
[12] なれ果『ネクローシス』[のんど](2024/11/07 15:32)
[13] なれ果『ネクローシス』②[のんど](2022/08/16 21:26)
[14] 休憩[のんど](2022/08/22 22:41)
[15] レジオン帝国『ブリュッケン』[のんど](2022/09/12 20:07)
[16] アルフォール&セドリック[のんど](2023/12/11 04:43)
[17] 諸刃の力[のんど](2023/02/20 13:00)
[18] いにしえの呪縛[のんど](2023/02/20 15:10)
[19] 瀟洒なカフェテリア[のんど](2023/05/01 20:14)
[20] 目に映る偽りの安寧[のんとみれにあ](2023/11/28 18:10)
[21] 一人の考古学者として[のんとみれにあ](2023/11/28 18:16)
[23] セラフィール『人類史上世界最強のディスパーダ』[のんとみれにあ](2023/11/28 18:19)
[24] 第23話 独立機動部隊総会議[のんど](2023/11/29 18:16)
[25] 中尉の決断[のんど](2023/12/02 20:16)
[26] 特異。[のんど](2023/12/12 06:20)
[27] ツァイトベルンの麓[のんとみれにあ](2024/04/15 22:20)
[28] ツァイトベルン時計台の戦い[のんとみれにあ](2024/11/07 15:05)
[29] ツァイトベルン時計台の戦い②[のんど](2024/11/07 15:06)
[30] レジスタンス[のんど](2024/11/07 15:06)
[31] 抵抗の枢軍者[のんど](2024/11/07 15:07)
[32] 帝国へ向かう灰色[のんど](2024/11/07 15:08)
[33] 帝国へ向かう灰色②[のんど](2024/11/07 15:08)
[34] レフティアの倫理[のんど](2024/11/07 15:11)
[35] 再会の時を望んで[のんど](2024/11/07 15:11)
[37] 枢騎士評議会①[のんど](2024/11/07 15:13)
[38] 枢騎士評議会②[のんど](2024/11/07 15:14)
[39] 枢騎士評議会③[のんど](2024/11/07 15:14)
[40] 特異性[のんとみれにあ](2023/11/28 18:13)
[42] 不死性[のんど](2024/11/07 15:17)
[43] 不死性②[のんど](2024/11/07 15:18)
[44] 早すぎる再会[のんど](2024/11/07 15:19)
[45] ダグネスの小さな反逆心[のんど](2024/11/07 15:19)
[46] 力の自覚[のんど](2024/11/07 15:20)
[47] 力の自覚②[のんど](2024/11/07 15:20)
[48] 力の自覚③[のんど](2024/11/07 15:21)
[49] 力の自覚④[のんど](2024/11/07 15:21)
[50] 力の自覚⑤[のんど](2024/11/07 15:22)
[51] 力の自覚⑥[のんど](2024/11/07 15:22)
[52] 枢騎を滅する計画[のんど](2024/11/07 15:23)
[53] 世界に愛されている[のんど](2024/11/07 15:23)
[54] アンバラル第三共和国軍[のんど](2024/11/07 15:24)
[55] クロナの失脚[のんど](2024/11/07 15:24)
[56] アンビュランス要塞撃滅作戦第一段階[のんど](2024/11/07 15:25)
[57] アンビュランス要塞撃滅作戦第二段階『総攻撃』第三段階『残党掃討作戦』[のんど](2024/11/07 15:26)
[58] 黒滅の四騎士[のんど](2024/11/07 15:26)
[59] 第九の人外終局者[のんど](2024/11/07 15:27)
[60] アンバラル第三共和国の襲来[のんど](2024/11/07 15:28)
[61] 共和国イニシエーター協会最高意思決定機関デュナミス評議会[のんど](2024/11/07 15:28)
[62] 決戦。[のんど](2024/11/07 15:30)
[82] 『人外終局』[のんど](2025/01/09 13:33)
[84] 『楽園』[のんとみれにあ](2025/02/02 19:52)
[85] 『楽園』②[のんとみれにあ](2026/02/18 16:11)
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[43110] クロナの失脚
Name: のんど◆2901f8c9 ID:00bef74a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2024/11/07 15:24
―――セラフ財団本部秘匿財団委員会にて。

 クロナ。
 彼女の真の名は【リ・イリーナセラフ・オレリア】。彼女が当主を務めるセラフ財団は、世界有数の多国籍企業である製薬会社【オート・パラダイム】や軍需産業を営む民間軍事会社【センチュリオン・ミリタリア】を傘下に収める大財団である。

 しかし、表向きに彼女は考古学者であり、その活動もこの手の学会では若いながらの有名人だ。
 彼女は自らが率いる精鋭揃いの発掘隊チーム、兼私設警備部隊である【オレリアンクレイツ】と共に世界中のあらゆる古代遺跡や古の遺物達を発掘し、保管してきた。
 こういう活動も相まって多忙である彼女が、これまでの財団の事業に殆ど関わることはなかったが、度々私的な目的で財団権力を振りかざし、対外的な軋轢を生むことは多々ある事だった。

 そういった事の積み重ねが、彼女が主要財団委員会からの不評を募らせていく今日迄の原因となっている。

「───ここ最近のクロナ様の行動には目を見張るものがありますぞ、そろそろ我々も彼女の処遇について再検討すべき時なのではー?」

 財団委員会による共和国侵攻に伴った緊急招集の集まり。
 その中で最初に言い放ったのは、財団委員会の副委員長。改め、セラフ財団副当主である男、セリマンだった。

「───セリマン殿の言う通りだ!!!いくら先代から引き継がれたものとは言え……我々が彼女の振る舞いに付き合わされる合理的な理由などない!一体どれだけのツケを払わされてきたことか!ギリアの利権の為、交渉に使われる我が身にもなってもらいたいものだ!!!」

「───そうだ!!!我々の更なる野心の前に彼女の存在は不要!!!排斥だ!!!」

「───当主権限を解体し、委員会に分配することで真の財団運営を!!!」

「───帝国側とのギリア領域でのいざこざも結局後始末もせぬままあの方は、まったく......」

 他の委員会メンバーもセリマンの意見に大いに賛同していく、だがその流れを一人の委員会メンバーの1人の女性はその流れを遮った。

「───さて、それはどうだろうかセリマン殿」

 彼女は、センチュリオン・ミリタリアの代表者【グゥリア・グレイス】、委員会の話の流れに歯止めをかけようとする。

「どういうことだねグレイス代表?何が言いたい」

 セリマンは威圧するような態度と口調でグレイスに問う。

「いや、先に言っておくと概ねあなた達の意見に賛同はできる。あのお嬢様にこの財団が適切に運用なされているかは疑問を抱きざるを得ないこの上のない事実だ。しかしだ、彼女を排斥した先に今以上の未来があるとも、私は思えないのだ」

 彼女はそう言うと、委員会は鎮まり始めた。

「……なるほど?グレイス代表は我々委員会が信用に値しない存在といいたいわけか」

 セリマンは挑発と受け取ったのか、イラついた態度を見せ始める。

「そうではないさ、私が言いたいのは。彼女に当主権限の存在が担われている事によって、組織全体の秩序が保たれている一つの要因ではないのかと提唱しているのだ。彼女の人柄があってこその今があるとも否定は出来んだろう。我々が強大な覇権国家達の壁を超え、こうしてまとまれているのには訳がある。そうは思わんかな」

 そのグレイスの発言にただ一人、首を縦に振る人物がいた。オート・パラダイム社代表のクレージュ・ミラーだ。

「───確かに確かに!グレイス代表の意見は魅力的だ。当主権限という財団や関連企業の殆どの意思決定権を有するような権力がこれだけ彼女に一極集中していても、未だ組織の秩序は保たれている。これに手を加えるなんて私も疑問を呈するね。独裁的であるのに、独裁の張本人たる当主は殆どの決定において干渉せず、ただ私的で小規模な都合でのみ独裁として振る舞われる。独裁の実態はないにも等しい組織としての未知の権力構造。我々の先祖達がこの組織構造を裏側の世界で残してきたのには訳があるはずさ。それともなにか、それ以上の理由をもってして当主を排斥したい理由でもあるのかねぇ」

 クレージュ・ミラーの発言に委員会は更に静まり返る。しかし、セリマンはそんな雰囲気の中でも血相一つ変えない様子でほくそ笑んでいた。

「ふっ、これはこれは。大企業代表お二方の貴重な意見を賜われて幸栄の限りだ。……しかし帝国の現体制崩落まであまり時間もない事だ、いま手を打たねば主要な我々のファクトリーヘイヴンを失うこととなる。配置転換する余裕も各所稟議を通していてはとても間に合わんよ。ここが共和国関連軍閥に落とされれば、セラフ財団全体の経済損失は計り知れぬ。奴らの台頭は塞がねばならん!財団保全の為にも、ここは副当主としての権限を行使し、臨時決を宣言する。───現財団当主、クロナ様の排斥に賛同する者は挙手を」

 そうセリマンが強引に投げかけた臨時決。財団委員会十二人のメンバーの内、二名を除いて全員が挙手をした。

(なるほど、私の関知しないところですっかり彼らもセリマンに染まっていた訳か。……私が危惧するよりも早かったですよ。先代方、セラフの血統は今宵をもって終わりとなりました。やはりこの資本の世界では、資本だけが彼らを制する事ができますのでしょね。悲しいことです)

 グレイスはそう胸の内でそう抱いた。

(あちゃー、やはり当主利権に目が眩んでいたか。権限が分割、競争原理が苛烈にならない生産ラインの分配で保たれていた聖域。即ちファクトリーヘイヴンへの資本干渉がなされれば二流企業の代表者共は共和国軍閥とのマーケット争いの前に、自前の生産能力が低い企業による生産能力獲得争いで身内同士競い合う事になる。我々と……本気で対等する気でいる様だな。この世界でただ企業だけは、彼女の元で纏まっていられると思っていたんだがなぁ)

 ミラーは内面でそう語る。

「───おや、お二方を除いて。概ねの代表者達は賛同されているご様子。大手大企業の代表者の意見を無下にするわけではありませんが、ご容赦くださいな。ここは財団委員会の既存方針として、当主不在の今。私が舵を取らせて頂く。これより現当主、リ・イリーナセラフ・オレリア。改めクロナ様の除籍案を、委員会過半数以上の賛成を以て可決とする。現時刻を以てして当主権限を解体、及び隷下組織の指揮系統凍結と元当主クロナの拘束。同時に組織倫理違反部隊である私設警備部隊オレリアンクレイツに対して規定処遇法を採択。アライアンス混成部隊による部隊殲滅を執行する!!!」

 ───セリマンがそう言うと、会議室内には盛大な拍手が鳴り響いた。
 最初から議論の必要などなく、全ては定まっていた事だった。


 ―――オート・パラダイム社CEOオフィスにて。

 一方、クロナは帝国領にあるオート・パラダイム社本部。そのCEOオフィスに数人のオレリアンクレイツの隊員を連れて訪れていた。

「グレイス遅いわねぇ、速くギリア領域に行く為の輸送機手配してもらいたいのに。ミリタリアは戦時中でどこも空きはないし、ディーク先生に早く遺物の実物を見てもらいたいのに......。はぁ……そういえば帝国の調査隊に奪われた四騎士の遺物も、あれいつ取り戻そう......。めんどーねー」

 クロナはそう囁きながらオフィスの椅子をぐるぐる回しながら贅沢に座りこなしていた。
 ───その時。
 オフィスの外の様子が少し騒がしい事にクロナは気づく。

「ん、なんだろう。なんか物騒な感じねー」

 クロナは他人行儀な様子でそう言うとそのオフィスの窓から外を覗く、すると外には数両の装甲車が停まっていて、周辺の社員が騒めついているのが伺えた。

「───不審者でもいたのですかね」

「───内部流通者の摘発でもしに来たんじゃないですかー?」

 オレリアンクロイツの隊員達が冗談めいた口調でそう言い合う。

「ふーん......」

 興味が薄そうな様子でクロナはオフィス内に視線を戻すと、壁を一つ挟んだ向こう側の社内から先ほどの外であったような騒めきが伝わってくる。

「うーん、なんかこれ。私の方に近づいてきてない?」

 困り顔でクロナがそう言うと、オレリアンクレイツの隊員の一人がライフルを構えてオフィスから出る。
 すると、大量の装備が摺れる音や重厚な歩行音が迫ってくると共にその隊員は戻ってきた。

「───クロナ様、武装した財団の私兵がこちらに近づいてきています。いかがなさいますか?」

「えぇ!?なんで?」

「───もうすぐそこまで迫っております」

「待って待って!争いはなしなし!まずは話をしてみましょ!」

 そういうとクロナはオフィスの外へと自ら出ていくと、オレリアンクレイツの隊員もそれに付き従いオフィスから出ていく。
 オフィスから出た先は、数十人の武装した財団私兵に取り囲まれており、周りにいた社員達全員いなくなっていた。

「───クロナ様、委員会当局より貴方に拘束命令が出ています。このまま我々と同行してください」

 財団の私兵がそう言うと、オレリアンクレイツの隊員はライフルを構える。
 それに合わせて財団の私兵もお互いに突きつけ合うかの様に銃を構えるが、クロナがそれを手振りで静止する。

「待って待って、なんでなの?理由は?」

「……委員会はクロナ様の当主権限を解体し、その隷下組織の運用の凍結も可決されました。併せてクロナ様には倫理違反の疑いが掛けられております。調査のため、このまま我々とご同行を願います」

 財団の私兵に言い渡されたその内容に、クロナは頭を痛めたかのように頭に手をやる。

「なんてこと......、これじゃあ......、これじゃあ......」

 クロナが言葉を溜める中、財団の私兵はクロナを急かすように触れようとする。

「これじゃあ......、これからどうやって世界中を飛び回ればいいって言うの!?!?」

 クロナのその言葉に財団の私兵は思わずその場で硬直する。

「はっ、はぁ。とにかく委員会からは貴方を可及的速やかに拘束するよう命じられています。今すぐ同行願えますか」

「嫌よ」

「えっ、しっ、しかし。拒否されるというのならこちらもこの場での実力行使もやむを得ません、どうかお考え直しください」

 財団の私兵はそう言うとライフルの銃口をクロナへと向ける。

「嫌なものは嫌、そんなもの。私へ向けても何の解決にもならない」

 クロナのその言葉に財団の私兵は鼻で笑うと、無理やりクロナを連れて行こうと手をクロナの腕に掛けようとする。

「―――本当に、愚かね」

 財団の私兵がクロナに触れようとした瞬間、その財団の私兵の腕は突然姿を暗ましたかのように消える。

「えっ......?」

 財団の私兵が気づいた頃には消えていた部位の腕は、血しぶきの円を描きながら宙を舞っていた。

「───ぐああああああああああああ!!!」

 腕を吹き飛ばされた私兵の絶叫を掻き消すかのように、財団の私兵達が一斉にクロナへ向けてライフルを絶え間なく撃ちだす。
 しかし、その全ての銃撃はクロナに対して効果的であるとは言えなかった。クロナの寸前で不可視の障壁に阻まれたエネルギー弾は空中で硝煙を発生させていた。まるで水分の玉が蒸発していくかのように。

「───ど、どういう事だ!聞いてないぞこんなのは!」

「───か、覚醒者だったのか!?」

「───ど、どうする!?俺達の武装じゃあ覚醒者は……」

 財団の私兵達が慌てふためく中、クロナは固有障壁である【刀空片】を一帯に展開する。
 大気の層で形成される刃はあらゆる場所に張り巡らされ、無数に作り出される。そしてその刃達が財団の私兵達を目掛けて次々と突き刺していく。私兵達の断末魔がフロアに響き渡る。

 かつて人々が居た生活感の温かみのあったその空間は、やがて私兵達の血で赤く黒く染まっていった。
 その場にいたクロナを綺麗に避けるように飛び血は広がり、その避けられた先にいたオレリアンクレイツの隊員達は飛び血で酷く汚れていた。

「あっ、ごめん。服、すごく汚しちゃったね」

 クロナは申し訳なさそうに隊員達に顔を向ける。

「───いえ、それよりも財団委員会への対応はどういたしましょう?」

 オレリアンクレイツの隊員達は汚れに気にする素振りもなく、クロナの指示を忠実に待つ。

「そうね、オレリアンクレイツの本隊に委員会を捕縛するよう通達してください」

「―――了解」



 ―――クロナより勅命を受けたオレリアンクレイツの本隊は、すぐさまに委員会の設置されている財団施設本部へと急行していた。

「―――オレリアンクレイツ総員傾注。クロナ様の勅命により、これより財団施設本部へと赴きクロナ様を欺いた財団委員会共を捕縛する。この指令を阻まれるような事態が発生した際は各自の裁量での無差別武力行使が認められている、速やかに指令を遂行せよ」

 財団施設本部の閉ざされた門を強行突破し、敷地内へとオレリアンクレイツは侵入した。
 施設内の警備兵を度々無力化しながらオレリアンクレイツは施設内の丁度中央区画付近に位置する委員会大会議室を目指した。
 会議室の扉前まで来たオレリアンクレイツは、合図を以て突入する。
 しかし、そこには委員会メンバーどころか誰一人して人の気配はなかった。

「───どういう事だ?なぜ誰もいない」

 会議室内の隅々を隈なく確認するも、そもそも人のいた形跡はなかった。
 しばらくすると、外を見張っていた隊員から連絡が入る。

「―――大変だ隊長......。こっちに来てくれ」

 言われるがまま駆け足で入り口の方まで走り戻ると、そこには前触れもなく現れた財団私兵とセンチュリオン・ミリタリアによる混成一個大隊規模の部隊が、施設を包囲するように展開されていた。
 クロナ自らによる選りすぐり精鋭部隊相手とは言え、現着隊員30名に対する戦力としては過剰とも言えるような戦力だった。
 目視で確認できるだけでもミリタリア社製対人特化戦車4両に、ミリタリア社製ガンシップが3機、対人装備が主装備となるオレリアンクレイツにとっては絶望という言葉でも言い表せないほどの窮地だった。
 そして降伏勧告もないまま敵は施設もろとも
 、遠慮することのない様子でオレリアンクレイツに対し攻撃を始める。

 それに対し、施設の遮蔽に身を隠して応戦するオレリアンクレイツ。攻撃が始まった時点で既に数人の隊員が死亡した。

「───ちっ、偽の情報掴まされてたか……もしくは指揮所に裏切られたのか。鼻っから待ち伏せで俺達を皆殺しにするつもりだったわけだ……」

 隊長である彼は、拳を固く握り締め、地を叩く。

「へへっ、まぁこう考えりゃいいんですよ。こうでもしなきゃ俺達を倒せるとは思えなかったって、これはもう実質俺達の勝ちみたいなものですよ隊長」

 陽気な隊員は、そう言った。

「……あぁ、そうだな。これは所謂、勝負に負けて戦いに勝つってやつかねぇ......、とまぁどの道、俺達はここで最後の足掻きって奴をあいつらにお見舞いすることになる。俺たち相手に一個大隊規模じゃ採算が合わんという事を財団のビジネス畜生共に教えてやろうか......。いくぞぉ!おまえらぁ!!!クロナ様の今回の指令は果たせそうにないが、今まで散々無茶振りに付き合って来たんだ!たまにはこんな時もあっていいよなぁ!!!最後まで華々しく飾ってやろうか!!!」

 隊長はその声掛けをオレリアンクレイツの通信チャネルに向けて言うと、それを最後に通信が切断される。
 オレリアンクレイツの隊員達は雄たけびを上げながら、敵の地上戦力へと突撃していった。


 ―――その後、現場到着後にしばらく連絡のないオレリアンクレイツを案じたクロナは、共にしていた数人のオレリアンクレイツと共に財団施設へと急いで足を運んだ。
 その途中で、財団施設本部区画から立ち上がる複数の黒煙が見え始める。
 通常の歩兵戦力で引きこせるような規模のものではない光景だった。

 やがてクロナは財団施設に辿り着き、破かれた門を通過、そしてその先に見えた光景。
 およそ半壊したと見られるミリタリア社と財団私兵混成一個大隊の姿があった。
 ガンシップは全て撃墜されており、戦車車両の何台かは撃破又は破損されて行動不能となっていた。
 遺体の回収作業を財団私兵達が行っていた辺りを見ると、自ずとこの場で奮闘したオレリアンクレイツは全滅したのだと直ぐに分かった。
 クロナは近くにあったオレリアンクレイツの制服を着た遺体に近づき、通信機を優しく拾い上げる。
 その通信機を開くと、隊長が最後の通信として残していたログの音声が残されており、クロナはそれを再生した。

 それは隊長の言葉だった、彼の言葉をクロナは耳に当てる。

「───うん、確かに。財団はこの規模の部隊を用意して正解だったみたい、この光景をみれば一目瞭然だよ。たった30名の部隊が約500人近く居た一個大隊とタメ張ったわけだからね、……君たちは私の誇りです」

 クロナはそう言うと、その場で無数の刃空片を展開する。
 不可視の刃はこの場のあらゆる敵対勢力の生き残り、負傷者や救護者。それを問わず遍くに目掛けて豪速に放たれた。やがてこの場には、都市部にはにつかわない死者の静寂が訪れたのだ。

「───我々はこれからどういたしますか?クロナ様」

 傍に居た隊員は、クロナにそう聞いた。

「……そうだね、しばらく卿国領にある別荘にでも行って大人しくしてようかな。世の中色々ときな臭いし、落ち着いてからまた彼等と向き合えばいいよ」

 クロナはどこまでも寂しげな表情で、氷の息を吐くような、そんな声調でそう話した。

「―――分かりました」

 クロナ率いるオレリアンクレイツ総勢32名の内、30名がミリタリア社と財団私兵による混成一個大隊との戦闘によって戦死。
 そして、生き残りの隊員二名とクロナは卿国の別荘へと赴こうとした。


 ―――財団委員会にて。


「───ば、ばかな!?一個大隊だぞ!?全滅なわけあるか!!!生き残りはおらんのか!?」

 セリマンは会議室内で有線の受話器を用いて先の殲滅作戦の報告を受けていた。

「……いやはや、恐れ入ったね。選りすぐりとは聞いていたが、たかだか数十人の部隊に内の参加させた兵士までもが完膚なきまでにやられちゃうなんてね。それに内の観測手によればクロナ様は覚醒者。セラフの血を継ぎ、かつ世界に唯一の【セラフィール級ディスパーダ】、その手の噂じゃあ人類最強とも臆されるような存在だ。そんなことは知る余地もなかったよね〜。上手いこと身分を使い分けていたもんだね、そりゃどれだけ並みの兵を積んでも敵わないわけだ。彼女自身が今まで好き勝手やってこれた理由やその自信にも納得だよ〜」

 クレージュ・ミラー代表はそう言うと大きなため息をつく。セリマンがそれに合わせるかのように受話器を机に叩きつける。

「呑気なことを言ってる場合かミラー代表!!!我々はクロナによって滅ぼされるのやもしれんのだぞ!!!」

 セリマンは心底怒り狂った様子でそう話す。

「知ったことですか、我々は事を見誤った。ならば滅ぼされるのが摂理ってやつでしょうよ。内は製薬会社なんでね、荒っぽい事は分かり兼ねますな。さて、あなた方はここからどうされるおつもりで?」

 クレージュ・ミラーは机に上に足を組むと素っ気ない態度を取る。

「ちっ!グレイス代表!!!なにか考えはないのか!?」

 セリマンに急に話を振られたグレイスは、呆然した様子だった。

「おっと……失礼。なにか、とは?」

「ぬううッ!貴官の組織にクロナに対抗しうる戦力はないのかと聞いておる!!!」

 そう聞かれたグレイスは即答する。

「ある」

 呆気に取られていたセリマンは、その即答に驚いて言葉を一瞬詰まらせる。

「……な、なんだと!?それは本当か!?それは何だ!?」

 セリマンが凄い剣幕でグレイスに顔を向ける。

「企業DP。秘匿のディスパーダ傭兵部隊を使う、覚醒者に対抗するにはやはり覚醒者しかない。我々の領域で彼女に対処できる次元はとっくに超えている」

「だ、だが並みの雇われディスパーダ程度では話にならんのではないか!?」

「当然だ、なので既存のチームは使わない。これから新しく雇う、あぁ。もちろん、彼女と張り合えるだけの逸材ですよ」

 グレイスがそう言った瞬間、クレージュ・ミラーの表情が曇る。

「グレイス代表、まさかアイツを使う気か......?」

「そのまさかだ、それしかなかろう」

 グレイス代表の発言内容に、クレージュ・ミラー以外の代表者達はついていけずに黙々とする。

「それはいっ、一体何なんなんだねグレイス代表」

 セリマンはその存在の答えを急かした。

「───かのデュナミス評議会にすら手を焼かせる程の人知を超えた人外達。そのリストの中でセラフィールに次ぐ階級でもあります。【エンプレセス】……ですよ」















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